Coverage of Grand Prix Trial-Yokohama
2009年3月23日 趣味Written byゆうやん
3/22に行われたGPT神戸、準決勝のカバレッジです。
もう残り一月まで迫ったグランプリ神戸。日本のマジックの歴史を語る上で決して欠かすことの出来ない地で行われる今回のグランプリ、そのフォーマットはエクステンデッドである。
最近はレガシー人気もあいまってエクステンデッドはますます肩身の狭い思いをしているのだが、レガシーよりも限られたカードプールであるからこそ生まれる明確なメタゲームと、多種多様なカード選択によるデッキのオリジナルチューンが行えるこのフォーマットは、玄人向けで、一部では人気があるに違いない。そう信じている。
さて、早速対戦テーブルに目を向けよう。
エクステンデッドで使用できるブロックがオンスロートからになった新環境、その最初のプロツアーであるベルリン。プレイヤーなら誰もが夢見るその日曜日に六人を送り出した凶悪なコンボデッキ、『エルフ』を使用するのは、LMCチャンピオンシップ準優勝やPWC上位入賞など、これからが期待されているプレイヤー、東海林。これまでのPTQやGPTでは一貫してエルフを使っていたようで、そのプレイの難しさから「デッキ選択に上がらない」とまで言われるエルフにも、ようやく慣れてきたらしい。
そんな東海林のエルフが産声をあげるよりも前から、エクステンデッドにおいて最速のビートダウンという立ち位置におり、それを今もなお確保し続けているのが、寺田のシャッフルしているデッキ、『ドメイン・ズー』である。軽く強力な生物を並べながら火力を打つ、というビートダウン然としたデッキでありながら、その時のメタゲームによって様々なチューンが可能なデッキで、好んで使う人も多い。ちなみに前述したように寺田のデッキは、この会場でも何人かが使用していたナヤ・ズーではなく、五色のドメインズーであることを強調しておきたい。
準決勝からデッキリストが公開となるのだが、至って普通の構成のエルフとは対照的に、寺田のドメイン・ズーはかなり偏った構成と言え、特にメインボードに採用されている《もみ消し/Stifle(SCG)》が異彩を放つ。これは東海林にとっては良い情報だが、三と言う数字が書かれている《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte(BOK)》を見て、少しげんなりした様子。サイドボードの《ジャンドの魔除け/Jund Charm(ALA)》をケアできる《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender(LRW)》は、もちろん寺田が真剣な面持ちで目を通しているデッキリストに書いてあった。
どちらともなくただの紙から手を離し、運命を決める七十五枚の紙をケースから出すと、まず先手後手を決めるダイスロールを行った。一回で決着はつき、先手を得たのは寺田。
七枚を二人がキープして、戦いの火蓋は静かに切って落とされた。
GAME1
寺田の《密林の猿人/Kird Ape(9ED)》に対して《寺院の庭/Temple Garden(RAV)》をタップインする東海林。《モグの狂信者/Mogg Fanatic(10E)》が場に追加され、東海林にとっては厳しい展開となるが、寺田は土地が止まってしまう。
とりあえず除去を使わせるしかない、と《ワイアウッドの養虫人/Wirewood Hivemaster(LGN)》をプレイし、《モグの狂信者/Mogg Fanatic(10E)》を生贄に捧げさせるのだが、次ターンには《炎の印章/Seal of Fire(DIS)》が、東海林のエルフを待ち構える。一方で寺田はまだ土地にめぐり合えない。
東海林の二枚目の《ワイアウッドの養虫人/Wirewood Hivemaster(LGN)》、《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel(EVE)》と続けてのプレイを寺田は快諾し、トークンが生み出される。が、このトークンは《密林の猿人/Kird Ape(9ED)》の前に消え去り、置いてある《ショック/Shock(10E)》が《ワイアウッドの養虫人/Wirewood Hivemaster(LGN)》を焼く。そしてようやく二枚目の土地を手にした寺田は、《部族の炎/Tribal Flames(TSB)》で《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel(EVE)》までもを退場させた。他に焼くべきカードがあるため火力は重要なはずなのだが、東海林のコンボが始動することを恐れたのだろうか。
何もせずターンを終了した東海林を、焼け野原を駆ける《密林の猿人/Kird Ape(9ED)》で殴り、更にプレイしたのは《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》。4/5と2/3、そして東海林のライフは残り12。時間が無いことが場で明らかとなる。
東海林は今引き込んだ《エルフの幻想家/Elvish Visionary(ALA)》でカードを一枚引き、その引いた《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers(ONS)》も展開。戦闘で《エルフの幻想家/Elvish Visionary(ALA)》は《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を受け止め、寺田からは何もアクションがないままターンが返ってくる。
ここで東海林は手札にずっと持っていた《遺産のドルイド/Heritage Druid(MOR)》を場に出す。このエルフには、寺田から《流刑への道/Path to Exile(CON)》が飛んでくるのだが、待ってましたと言わんばかりの東海林の《召喚の調べ/Chord of Calling(RAV)》。Xは1で、勿論デッキから呼び出されたのは《ワイアウッドの共生虫/Wirewood Symbiote(SCG)》。流刑されることなく《遺産のドルイド/Heritage Druid(MOR)》は無事、手札へ帰還。
前のターンと同じように《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》の攻撃のみエルフがチャンプするが、今回は墓地ではなく手札へと帰る。ここでこの《ワイアウッドの共生虫/Wirewood Symbiote(SCG)》が除去られることとなれば寺田の勝利は大きく近づくのだが、《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》を追加するのみ。
そしてこれを好機とばかりに、東海林が一気に動き出す。まずは《召喚士の契約/Summoner’s Pact(FUT)》で《ワイアウッドの養虫人/Wirewood Hivemaster(LGN)》をサーチから即座に場に呼び出し、《本質の管理人/Essence Warden(PLC)》が後を続く。そして立て続けに《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers(ONS)》、《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel(EVE)》、《遺産のドルイド/Heritage Druid(MOR)》と展開していき、ライフは15まで回復。更に場には四体のトークンと、たくさんのエルフが。
寺田も手札の火力でエルフの郡勢を焼き払おうとするのだが、焼け石に水。《垣間見る自然/Glimpse of Nature(CHK)》が東海林にたくさんの手札を、そして《本質の管理人/Essence Warden(PLC)》が東海林のライフを30まで到達させた時には、いつしか動物園だった場は、エルフの村へと変わってしまったのだった。
東海林1-0寺田
GAME2
寺田が土地によって三点を受けながら、《思考囲い/Thoughtseize(LRW)》でライフを15まで減らしつつ、《ワイアウッドの共生虫/Wirewood Symbiote(SCG)》を落とす立ち上がり。東海林はマリガンと《思考囲い/Thoughtseize(LRW)》によって減ってしまった手札を更に二枚減らし、セットランドから《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers(ONS)》で応える。
二ターン目の寺田のアクションは、《繁殖池/Breeding Pool(DIS)》を置きながら《野生のナカティル/Wild Nacatl(ALA)》という、少し心もとないもの。それも肝心要の赤マナが無い。東海林は《ワイアウッドの養虫人/Wirewood Hivemaster(LGN)》、《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel(EVE)》と展開するが、エンド前に《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel(EVE)》は《流刑への道/Path to Exile(CON)》で基本地形へと変わる。
するとここで寺田の土地がまたストップ。それも一ゲーム目とは違い、何もアクションが起こせない。そうしている間に東海林は《エルフの幻想家/Elvish Visionary(ALA)》、《遺産のドルイド/Heritage Druid(MOR)》、《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers(ONS)》と並べ、《召喚の調べ/Chord of Calling(RAV)》を構えながら、エルフと昆虫で場を埋め尽くさせていく。
このターンでも土地の引けない寺田に引導を渡すべく東海林がプレイした《召喚の調べ/Chord of Calling(RAV)》のXは7。それによって十枚のカードを引いた東海林は、文字通りエルフの威厳を見せ付けたのだった。
東海林2-0寺田
東海林Win!
大会日程
3/28東神奈川PWC -189th-(スタンダード)
4/4横浜西公会堂 GPT神戸(エクステンデッド)
4/5神奈川公会堂 PTQホノルル(エクステンデッド)
4/11神奈川公会堂 東神奈川PWC -191st-(スタンダード)
4/18東京マルチメディア専門学校 新宿PWC -192th-(スタンダード)
最新の情報、詳細に関してはhttp://www.f2.dion.ne.jp/~nakajt08/にてご確認下さい。
ご協力してくださった主催の中嶋さん、寺田さんに東海林さん、ありがとうございました。
なお、決勝のカバレッジも近日中にUPする予定です。準決勝ともども、楽しんでいただけたら嬉しい限りです。
3/22に行われたGPT神戸、準決勝のカバレッジです。
もう残り一月まで迫ったグランプリ神戸。日本のマジックの歴史を語る上で決して欠かすことの出来ない地で行われる今回のグランプリ、そのフォーマットはエクステンデッドである。
最近はレガシー人気もあいまってエクステンデッドはますます肩身の狭い思いをしているのだが、レガシーよりも限られたカードプールであるからこそ生まれる明確なメタゲームと、多種多様なカード選択によるデッキのオリジナルチューンが行えるこのフォーマットは、玄人向けで、一部では人気があるに違いない。そう信じている。
さて、早速対戦テーブルに目を向けよう。
エクステンデッドで使用できるブロックがオンスロートからになった新環境、その最初のプロツアーであるベルリン。プレイヤーなら誰もが夢見るその日曜日に六人を送り出した凶悪なコンボデッキ、『エルフ』を使用するのは、LMCチャンピオンシップ準優勝やPWC上位入賞など、これからが期待されているプレイヤー、東海林。これまでのPTQやGPTでは一貫してエルフを使っていたようで、そのプレイの難しさから「デッキ選択に上がらない」とまで言われるエルフにも、ようやく慣れてきたらしい。
そんな東海林のエルフが産声をあげるよりも前から、エクステンデッドにおいて最速のビートダウンという立ち位置におり、それを今もなお確保し続けているのが、寺田のシャッフルしているデッキ、『ドメイン・ズー』である。軽く強力な生物を並べながら火力を打つ、というビートダウン然としたデッキでありながら、その時のメタゲームによって様々なチューンが可能なデッキで、好んで使う人も多い。ちなみに前述したように寺田のデッキは、この会場でも何人かが使用していたナヤ・ズーではなく、五色のドメインズーであることを強調しておきたい。
準決勝からデッキリストが公開となるのだが、至って普通の構成のエルフとは対照的に、寺田のドメイン・ズーはかなり偏った構成と言え、特にメインボードに採用されている《もみ消し/Stifle(SCG)》が異彩を放つ。これは東海林にとっては良い情報だが、三と言う数字が書かれている《梅澤の十手/Umezawa’s Jitte(BOK)》を見て、少しげんなりした様子。サイドボードの《ジャンドの魔除け/Jund Charm(ALA)》をケアできる《ブレンタンの炉の世話人/Burrenton Forge-Tender(LRW)》は、もちろん寺田が真剣な面持ちで目を通しているデッキリストに書いてあった。
どちらともなくただの紙から手を離し、運命を決める七十五枚の紙をケースから出すと、まず先手後手を決めるダイスロールを行った。一回で決着はつき、先手を得たのは寺田。
七枚を二人がキープして、戦いの火蓋は静かに切って落とされた。
GAME1
寺田の《密林の猿人/Kird Ape(9ED)》に対して《寺院の庭/Temple Garden(RAV)》をタップインする東海林。《モグの狂信者/Mogg Fanatic(10E)》が場に追加され、東海林にとっては厳しい展開となるが、寺田は土地が止まってしまう。
とりあえず除去を使わせるしかない、と《ワイアウッドの養虫人/Wirewood Hivemaster(LGN)》をプレイし、《モグの狂信者/Mogg Fanatic(10E)》を生贄に捧げさせるのだが、次ターンには《炎の印章/Seal of Fire(DIS)》が、東海林のエルフを待ち構える。一方で寺田はまだ土地にめぐり合えない。
東海林の二枚目の《ワイアウッドの養虫人/Wirewood Hivemaster(LGN)》、《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel(EVE)》と続けてのプレイを寺田は快諾し、トークンが生み出される。が、このトークンは《密林の猿人/Kird Ape(9ED)》の前に消え去り、置いてある《ショック/Shock(10E)》が《ワイアウッドの養虫人/Wirewood Hivemaster(LGN)》を焼く。そしてようやく二枚目の土地を手にした寺田は、《部族の炎/Tribal Flames(TSB)》で《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel(EVE)》までもを退場させた。他に焼くべきカードがあるため火力は重要なはずなのだが、東海林のコンボが始動することを恐れたのだろうか。
何もせずターンを終了した東海林を、焼け野原を駆ける《密林の猿人/Kird Ape(9ED)》で殴り、更にプレイしたのは《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》。4/5と2/3、そして東海林のライフは残り12。時間が無いことが場で明らかとなる。
東海林は今引き込んだ《エルフの幻想家/Elvish Visionary(ALA)》でカードを一枚引き、その引いた《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers(ONS)》も展開。戦闘で《エルフの幻想家/Elvish Visionary(ALA)》は《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》を受け止め、寺田からは何もアクションがないままターンが返ってくる。
ここで東海林は手札にずっと持っていた《遺産のドルイド/Heritage Druid(MOR)》を場に出す。このエルフには、寺田から《流刑への道/Path to Exile(CON)》が飛んでくるのだが、待ってましたと言わんばかりの東海林の《召喚の調べ/Chord of Calling(RAV)》。Xは1で、勿論デッキから呼び出されたのは《ワイアウッドの共生虫/Wirewood Symbiote(SCG)》。流刑されることなく《遺産のドルイド/Heritage Druid(MOR)》は無事、手札へ帰還。
前のターンと同じように《タルモゴイフ/Tarmogoyf(FUT)》の攻撃のみエルフがチャンプするが、今回は墓地ではなく手札へと帰る。ここでこの《ワイアウッドの共生虫/Wirewood Symbiote(SCG)》が除去られることとなれば寺田の勝利は大きく近づくのだが、《台所の嫌がらせ屋/Kitchen Finks(SHM)》を追加するのみ。
そしてこれを好機とばかりに、東海林が一気に動き出す。まずは《召喚士の契約/Summoner’s Pact(FUT)》で《ワイアウッドの養虫人/Wirewood Hivemaster(LGN)》をサーチから即座に場に呼び出し、《本質の管理人/Essence Warden(PLC)》が後を続く。そして立て続けに《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers(ONS)》、《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel(EVE)》、《遺産のドルイド/Heritage Druid(MOR)》と展開していき、ライフは15まで回復。更に場には四体のトークンと、たくさんのエルフが。
寺田も手札の火力でエルフの郡勢を焼き払おうとするのだが、焼け石に水。《垣間見る自然/Glimpse of Nature(CHK)》が東海林にたくさんの手札を、そして《本質の管理人/Essence Warden(PLC)》が東海林のライフを30まで到達させた時には、いつしか動物園だった場は、エルフの村へと変わってしまったのだった。
東海林1-0寺田
GAME2
寺田が土地によって三点を受けながら、《思考囲い/Thoughtseize(LRW)》でライフを15まで減らしつつ、《ワイアウッドの共生虫/Wirewood Symbiote(SCG)》を落とす立ち上がり。東海林はマリガンと《思考囲い/Thoughtseize(LRW)》によって減ってしまった手札を更に二枚減らし、セットランドから《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers(ONS)》で応える。
二ターン目の寺田のアクションは、《繁殖池/Breeding Pool(DIS)》を置きながら《野生のナカティル/Wild Nacatl(ALA)》という、少し心もとないもの。それも肝心要の赤マナが無い。東海林は《ワイアウッドの養虫人/Wirewood Hivemaster(LGN)》、《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel(EVE)》と展開するが、エンド前に《イラクサの歩哨/Nettle Sentinel(EVE)》は《流刑への道/Path to Exile(CON)》で基本地形へと変わる。
するとここで寺田の土地がまたストップ。それも一ゲーム目とは違い、何もアクションが起こせない。そうしている間に東海林は《エルフの幻想家/Elvish Visionary(ALA)》、《遺産のドルイド/Heritage Druid(MOR)》、《樺の知識のレインジャー/Birchlore Rangers(ONS)》と並べ、《召喚の調べ/Chord of Calling(RAV)》を構えながら、エルフと昆虫で場を埋め尽くさせていく。
このターンでも土地の引けない寺田に引導を渡すべく東海林がプレイした《召喚の調べ/Chord of Calling(RAV)》のXは7。それによって十枚のカードを引いた東海林は、文字通りエルフの威厳を見せ付けたのだった。
東海林2-0寺田
東海林Win!
大会日程
3/28東神奈川PWC -189th-(スタンダード)
4/4横浜西公会堂 GPT神戸(エクステンデッド)
4/5神奈川公会堂 PTQホノルル(エクステンデッド)
4/11神奈川公会堂 東神奈川PWC -191st-(スタンダード)
4/18東京マルチメディア専門学校 新宿PWC -192th-(スタンダード)
最新の情報、詳細に関してはhttp://www.f2.dion.ne.jp/~nakajt08/にてご確認下さい。
ご協力してくださった主催の中嶋さん、寺田さんに東海林さん、ありがとうございました。
なお、決勝のカバレッジも近日中にUPする予定です。準決勝ともども、楽しんでいただけたら嬉しい限りです。
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